花粉症と口臭

オーラルケア

花粉口臭」って、知っていますか?
花粉口臭」というのは、花粉症が原因で口臭が悪化する症状のことです。
株式会社いいの製薬が実施した、花粉症の人を対象にしたアンケートでは、実に72%の方が花粉症の時期に口臭が悪化すると回答したとのことです。
なぜ、花粉症になると、口臭が発生してしまうのでしょう?
花粉症と口臭の関係、そして口臭を予防する方法について、調べてみました。

花粉症

花粉症になる花粉

花粉症というと、スギ花粉がよく知られていますが、他にも花粉症を引き起す花粉はたくさんあります。

種類 開花時期
スギ 2月~5月 本州・四国・九州に分布し、北海道と沖縄は少ない
ヒノキ 3月~5月 南東北から四国・九州に分布 / スギと似た症状を発症
シラカンバ 4月~6月 主に北海道と東北 / 高地にも
イネ科 5月~8月 カモガヤ・オオアワガエリが牧草として全国に分布
ブタクサ 8月~9月 秋の花粉症:日本全国どこにでも繁殖する雑草
ヨモギ 9月~10月 秋の花粉症:日本中に分布している野草

 

花粉症のメカニズム

花粉症というのは、スギやヒノキなどの花粉が原因で鼻水・くしゃみ・鼻づまり・目のかゆみなどのアレルギー症状を起こす病気で、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。

花粉という異物(アレルゲン)が体内に入ってくると、その異物(抗原)を排除しようとして、反応する物質であるIgE(免疫グロブリンE)抗体を生成されます。
体内に抗体ができた後、再び花粉が体内に入ると、それを排出するために鼻や目の粘膜からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が分泌されます。
その作用として、くしゃみをしたり、鼻水や涙で洗い流そうとしたり、鼻づまりにより防御しようとしたりするのが、花粉症と呼ばれる症状です。
主にくしゃみ・鼻水・涙・鼻づまりといった症状になりますが、それに伴って引き起される目やノドのかゆみ・湿疹・めまい・発熱や頭痛なども花粉症の症状としてとらえられています。

体内に入った抗原である花粉に反応してIgE抗体は生成され、血液や粘膜中の肥満細胞と結合するのですが、抗体が一定量を超えるとアレルギー症状を起こす感作という状態になります。
感作が成立してしまうと、花粉は体にとって異物と記憶されてしまうため、アレルギー反応として花粉症を発症することになってしまいます。

ヒスタミン 知覚神経を刺激して、くしゃみを起こしたり、かゆみを感じさせたりします。また、分泌中枢を刺激して、鼻水の分泌も増やします
ロイコトリエン 血管を拡張させる作用があり、それにより腫れた粘膜が鼻づまりを引き起こします。涙や充血といった目の症状にも影響を与えています

花粉症の検査

花粉症と風邪の症状は似通っていますし、花粉症であれば、何に対するアレルギー反応なのかがわからないと治療方法が定まらないので、次にあげる検査で判定を行ないます。

血中IgE検査 血中のIgEの総量を調べる検査と、どの花粉(アレルゲン)に反応するかを調べる検査があります
プリックテスト プリック針を用いて皮膚内に花粉(アレルゲン)を少量入れて反応を確かめるものです
パッチテスト 花粉(アレルゲン)を皮膚に貼付して刺激反応による判定するというものです
鼻粘膜テスト 花粉(アレルゲン)のエキスを染み込ませた紙を鼻粘膜に貼り付けて反応をチェックします
点眼テスト 花粉(アレルゲン)のエキスを点眼して目の反応を確認します
顕微鏡検査 鼻や目の粘膜を採取し、顕微鏡でアレルギー反応を起こす白血球(好酸球)の状態を調べます

 

花粉口臭

花粉口臭は、次のような原因で発生します。

◎ 鼻水が喉の方へと流れていく後鼻漏(こうびろう)により、副鼻腔に炎症を起こす蓄膿症(ちくのうしょう)になると、膿から発生する臭味が口臭となります。

◎ 鼻づまりになると鼻での呼吸がしづらくなり口呼吸になり、そのため口腔内が乾いてしまい唾液の分泌が減少すると口内の殺菌効果が弱まり、口臭が発生します。

花粉症の薬(第一世代抗ヒスタミン薬)には口が乾きやすくなるという副作用があり、それにより唾液の分泌が低下して口内環境が悪化し、口臭を発生させます。

花粉症の治療

花粉症の治療には、症状を抑えるための対症療法と、治癒を目指す根治療法があります。

対症療法

対症療法には、内服薬や点鼻薬、点眼薬を使う薬物療法と、鼻粘膜に対するレーザー手術の2種類あります。

薬物療法 くしゃみ/鼻水
抗ヒスタミン薬が用いられます
以前は、眠気や口内乾燥を引き起す抗コリン作用がある第一世代抗ヒスタミン薬でしたが、現在は副作用が表れにくく化学伝達物質の遊離抑制作用を持つ第二世代抗ヒスタミン薬が使われています
薬物療法 鼻づまり
抗ロイコトリエン薬を用います
血管を拡張させ粘膜を腫れ上らせる化学伝達物質ロイコトリエンを抑える働きをします
薬物療法 鼻全般
抗ロイコトリエン薬を用います
血管を拡張させ粘膜を腫れ上らせる化学伝達物質ロイコトリエンを抑える働きをします
薬物療法
涙目などの目の症状には、点眼用抗ヒスタミン薬や点眼用遊離抑制薬を用います
重度の場合には、点眼用ステロイド薬を使うこともあります
レーザー手術
薬物療法では改善が見られない場合、レーザーを照射して鼻粘膜を変性させてアレルギー反応を起こしにくくするものです
鼻粘膜の腫れの解消につながるので、特に鼻づまりには効果があるとされています

 

根治療法

根治療法は、「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」といって、花粉症の原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に取り込むことで免疫を獲得し、アレルギー反応を起こさない体質へと変えてしまうという方法です。
アレルギー反応が発症しない程度にアレルゲンワクチンを皮下注射していく皮下投与法と、舌下錠などの経口薬を用いる舌下投与法があります。

アレルゲン免疫療法は、治療終了後も効果が持続することが認められているため、根治療法と位置づけられています。ただ、皮下投与法の場合は定期的な通院治療を数年継続する必要があります。
しかし、舌下投与法であれば在宅治療が可能であるため、今後は一般的な花粉症治療法として認識されていくと思われます。

口臭対策

花粉症の発症により、花粉口臭が引き起こされてしまいます。
花粉症を治すことができれば、それにより花粉口臭もなくなりますが、花粉症をちゃんと治すというのは、容易なことではありません。
アレルゲン免疫療法舌下投与法であれば、完治を期待することはできるものの、その治療には時間がかかってしまいますので、そういったことも含めて口臭対策は必要です。

また、蓄膿症(副鼻腔炎)になってしまうと、口呼吸ばかりして、それにより口の中が乾燥することになり、その結果、口臭が発生してしまいます。
蓄膿症も発症した場合は、花粉症の治療と並行して、蓄膿症の治療も行なってください。

口臭発生に対する、即効性がみられる対応策として、口臭サプリメントがあります。口臭サプリメントには、マスキング作用といって、クサいニオイを包み込むという働きを持っていますし、口臭サプリメントにはミントなどの良い香り成分がありますので、口臭を爽やかにしてくれます。
そして、口腔内の乾燥化を防ぎ、唾液をたくさん分泌させ、口内環境の改善させるにも、口臭サプリメントは有効です。
唾液による殺菌消毒は口臭対策となりますが、人間は意識をして唾液を増やすということはたやすくできることではないので、口臭サプリメントを利用するのが便利な方法といえます。

口臭サプリメントを継続的に摂取することで、口臭をケアしましょう。